
仏教の宗派とは?ご葬儀でのマナーの違い
仏教の宗派とは?ご葬儀でのマナーの違いや開祖・ご本尊などの基本情報を解説
日本の多くの人々は仏教徒ですが、仏教と一口に言っても、その宗派は非常に多様です。宗派によっては、お仏壇の飾り方から祭壇の作り方、さらにはお焼香やお線香の作法に至るまで、細かな違いが見受けられます。
今回は、「仏教における宗派とは何か?」という基本的な問いから、それぞれの宗派の特徴や、ご葬儀におけるマナーの違いについて詳しく解説します。事前に宗派ごとのマナーを理解しておくことで、異なる宗派のご葬儀に参列した際にも落ち着いて対応できるようになります。
仏教の宗派とは?
宗派とは、仏教がインドから各国へ伝来する過程で、歴史や文化的背景に基づいて発展した仏教の異なる形態を指します。日本においては、代表的なものだけでも13宗、56派が存在しています。
仏教の教えは、インドの王族であったゴータマ・シッダールタ(ブッダ)が「悟りを開くための修行」を教えることから始まりました。ブッダは40年の修行の末、悟りを開き、「ブッダ(目覚めた人)」と呼ばれるようになりました。
ブッダの教えは、インド国内で多くの支持を集め、その後インドから他国へ広まっていきます。しかし、インド語で書かれた経典を他国の言葉で伝えるためには、翻訳や修正が必要でした。その過程で、仏教は各国の文化に合わせて変化し、独自の宗派が形成されました。
日本に仏教が伝来したのは飛鳥時代の頃です。当時、日本は「神道」の信仰が主流であり、仏教は最初は広まりませんでした。しかし、時の権力者の努力により仏教は広まり、神道との調和を図りながら、独自の進化を遂げていきました。
宗派ごとのご葬儀のマナーの違い
同じ仏教でも、宗派が違えば「信仰する対象」や「教え」、「唱えるお経」などが異なります。そのため、ご葬儀の内容にも宗派ごとの教えが反映され、マナーにも違いが生じることになります。
例えば、「ご葬儀の内容」や「お焼香の回数」「お線香の置き方」「数珠の持ち方」などが宗派ごとに異なります。そのため、各宗派のマナーについて理解しておくことが大切です。
日本の代表的な仏教宗派
日本には13の宗と56の派閥が存在し、それぞれに異なる本尊や経典があります。次に、日本を代表する8つの宗派についてご紹介します。
天台宗
天台宗は平安時代に最澄によって唐(中国)から日本に伝えられた仏教で、信者数は現在150万人ほどです。「皆仏様の子どもであり、助け合いながら生きる」という教えが特徴です。本尊は阿弥陀如来で、経典は「妙法蓮華経」です。ご葬儀では、お焼香を3回、またお線香は1〜3本を真ん中に立てることが一般的です。
真言宗
真言宗は、空海によって平安時代初期に開かれました。「即身成仏」を教義としており、仏様と同じように行動し、心を清く保つことで誰でも仏様になれるという教えです。本尊は大日如来で、「大日経・金剛頂経・般若心経」などを経典として掲げています。ご葬儀では、お焼香を3回、額にいただき、お線香は3本立てることがマナーです。
浄土宗
浄土宗は、法然によって開かれ、信者数は現在600万人ほどです。念仏を唱えることで極楽浄土に生まれ変わると説いています。本尊は阿弥陀如来で、経典は「浄土三部経」です。ご葬儀では、お焼香を1〜3回、額にいただき、お線香は1本立てるのがマナーです。
浄土真宗本願寺派
浄土真宗本願寺派は親鸞によって鎌倉時代に開かれ、信者数は約780万人です。念仏を唱える「気持ち」が大切だと教えます。本尊は阿弥陀如来で、経典は「浄土三部経」です。ご葬儀では、お焼香を額にいただかず1回、そしてお線香は1本を左側に立てて寝かせるのがマナーです。
曹洞宗
曹洞宗は道元によって鎌倉時代初期に日本に伝えられた宗派です。信者数は370万人ほどで、「般若心経」を唱えることが特徴です。本尊は釈迦如来で、ご葬儀ではお焼香を2回行います。1回目は額にいただき、2回目はそのまま香炉にくべます。
臨済宗
臨済宗は栄西によって日本に伝えられた宗派です。自力で悟りを開くことを目指し、特定の本尊を持たないことが特徴です。ご葬儀では、お焼香を1回、額にいただかずお線香は1本立てます。
日蓮宗
日蓮宗は日蓮によって開かれ、信者数は約330万人です。経典を唱えることで即座に仏になれるという「唱題成仏」が特徴です。本尊は釈迦如来、大曼荼羅で、「法華経」を経典として信仰しています。ご葬儀では、お焼香を3回、お線香は1〜3本を立てるのがマナーです。
まとめ
仏教の宗派には多くの種類があり、それぞれに異なる経典や教えが存在します。ご葬儀のマナーや作法も宗派によって異なるため、事前にそれぞれの宗派のマナーを理解しておくことは非常に重要です。ご葬儀に参列する際は、落ち着いてマナーを守り、供養に向き合えるようにしておきましょう。